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メメント

久しぶりにブログで映画の感想でも
インセプション、ダークナイトのクリストファー・ノーラン監督の出世作「メメント」
FacebookやTwitterではちょっとだけ書いたけど、もう少し掘り下げて書いてみよう
いちおうストーリーの根幹に関わるようなネタバレは出来るだけ無しの方向で頑張ります


妻を殺害されたショックで10分間しか記憶を保てなくなった男が犯人を捜すという話
日常生活は撮った写真にメモをとることで何とかこなし、犯人の情報はイレズミとして体に刻む


まずスゴイのが、演出のアイディア。カラーパートとモノクロパートで綴られる今作は、カラーパートが主人公の約10分ごとの行動を時系列とは逆に、つまり遡っていくもの、モノクロパートが時間と順行するものとなっていて、それが交互に挟まれるという、気を抜くと間違いなく置いてけぼりを食らう作品になっている。言い換えれば、カラーパートの最後が前のカラーパートの最初に繋がり、その間に普通に進むモノクロパートが挟まっているという感じだろうか。文字にしているだけで混乱しそうだが、まさに「10分間の記憶を辿る」という主人公と同じことを観客に体験させるためのいい演出になっていると思う(観客に強いるとも言うけど笑)。

アイディアと言えばポラロイドカメラの写真を使った演出もすばらしかった。映画冒頭のカラーパートは巻き戻しの様な逆再生になっているんだけど、手に持ったポラロイドが振る度に色が抜けて白くなっていくのが、10分前の記憶が消えていくという設定とあいまってとても切ない。そして最後のモノクロパートは最後のカラーパートに繋がるのだけど、モノクロで撮ったポラロイドが現像されるのと同時に、映画の画面もカラーへと変わるというのがすごく上手いなぁと思ってしまう。これを作ったとノーラン監督は色盲というのだからさらに驚きだ。

設定として重要だと思うのが、10分間しか記憶を保てないというのもそうだけど、10分間しか記憶できないという状況にもかかわらず介護者がいないというのがいい。こういう話だと主人公の理解者であり協力者であるイイ人がいるのが定番。それを省くことで、協力者といっても実際は協力者「らしき」人、という誰も信用できない緊張感が全編を通して流れ、安心できる瞬間がほとんどない緊迫感で覆われた作品になっていると思う。

そして最後に、なにがどうなって復讐を完成させるのかというサスペンス的な面白さというのも抜群にあるんだけど、今作では「失う」という事にかなりの比重を置いていると感じた。「妻」を失い、「記憶」を失い、「生きる意味」を失い、失い続けてなお失うことの出来ない「感情」、それに対する憤りすら失う彼の哀しみ。これに気付けるかでさらに評価の度合いが変わる、そんな作品だと思う。


書いてて思ったんだけど、ノーラン監督の作品では主人公に感情移入できるどころか、感情を疑似体験できるものが多い気がする。インセプションもダークナイトも主人公の葛藤と迷いが観客まで伝染するような作品だと思う。

ツイッターで「その時間は楽しくなくても良いから、何か心の中に爪痕を残して、その爪痕について後でじっくり考えられるような、そういう映画をぼくは見たいし、そういう映画をぼくは面白いと思います」ってのがあってRTしたかもしれないけど、すごく共感できるし、自分にとってインセプションやメメントがこれにあたる映画だったんだよね。そういう映画は何度もみたいと思うんだけど、最近の他の監督の作品はあまりこういう深くえぐられるようなものは少ないなぁ。押井さんとかは近い様で遠い気がするし(笑)。

そんな感じでメメント、とても好きな作品でした
見てる間は間違いなく混乱して、頭が追いついていかないと思うけど
見た後にじっくり考えることのできる味わい深い作品になっていると思いました、まる
では今回はこの辺で、えぬまるでしたノシ
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1141:

ノーランの凄い所はストーリーもそうだけど編集が素晴らしいよね。メメント然りプレステージ、インセプションも編集の妙を充分感じさせる作品だよね。まあダークナイト ライジングは期待値MAXでもいいと思うよ!

2012.07.18 22:55 じゅんちゃん #- URL[EDIT]
1142:

>じゅんちゃん
無駄にこってて分かりづらいって意見も分かる気がするけどね
それに比べればバットマンシリーズはわりとオーソドックスな作りになってると思うけど、あれはあれでヒーローものにありがちなお約束を排除してるのが面白いと思うなぁ

2012.07.18 23:17 えぬまる #- URL[EDIT]

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